ちゃあちゃんの話。

母方の祖母を「ちゃあちゃん」と呼んでいる。
オイラの姉が幼い頃、母が祖母を呼ぶ「お母さん」を真似しようと「ちゃあちゃん」と呼んで以来、我が家と従兄弟の家では、母方の祖母は「ちゃあちゃん」と呼ばれる事になったのである。

ちゃあちゃんは男勝りの実業家タイプで、趣味の洋裁を仕事にし、その金で戸建ての家を買って部屋を他人に貸し、その家賃で何件か家を建てては大家業をしていた。
晩年は海外旅行が趣味で、じいちゃんや友達と連れ立って、世界中を年中旅して回った。
健脚なので、気がつくと一人で何処にでもホイホイ出掛けて行く、フットワークの軽い人なのである。
しかし、寄る年波には勝てず、このところ海外旅行時には姉を連れて行く事が増えた。

去年、一緒にサイパンに行った時、
「ああ、ちゃあちゃんと旅行もこれが最後かな」
と思った。
そのくらい、ちゃあちゃんの脚は弱々しく、旅行の回数も減っていた。

最近はずっと風邪をこじらせていたが、先週入院した。
個室から一般病棟に移るほど回復したというので、先ほどお見舞いに行ってきた。

病室を訪ねると、綺麗な可愛い看護婦さんと入れ違いになった。

オレ「こんちは」
ちゃ「はいはい、こんちは」

久しぶりに会うちゃあちゃんは、少し顔に丸みが出て、血色もいい。

ちゃ「今ね、看護婦さんにアタックしちゃった」

ん?何の事やらわからない。
混乱していると、

ちゃ「ホラ、ヒロくん薬の仕事でしょ。紹介しようと思って」

ヒロくんとは、オイラと同い年の従兄弟で、某大手薬剤メーカーで薬品開発をしている秀才である。
浮いた話の一つも無い事を、ちゃあちゃんは心配している様だった。

オレ「いいんじゃない?」
ちゃ「まぁ、いいか悪いかは別にして、ねぇ、好きずきは本人たちの勝手だから」
オレ「うん」
ちゃ「ヒロは宮様だから、心配なんだよ」

宮様というのは、ヒロくんの顔立ちが公家のような柔和な顔なので、オイラが言い出した。
先日久しぶりに会った時、つくづく公家のような雰囲気の人だなぁ、と思った。

ちゃ「お節介かも知れないけど、心配なんだよ」

そう言って笑った。
ちゃあちゃんが入院している病院はなかなか設備や人員が充実しているようで、

ちゃ「お前も心臓診てもらえ」

と薦められた。
最近は特に倒れる事も無いので、検査などに行っていないのだが、三十路だから一度診てもらった方がいいのだろうな、と思った。

それから、次第に話は大東亜戦争の話になり、東京大空襲の話や、焼夷弾のトラウマで雷や花火に馴れるまで時間がかかった事などを聞いた。

ちゃ「じいちゃん、空軍に憧れててねぇ。白い服ばかり着てたのは、空軍のマフラーの色からなんだよ」

確かに記憶の中のじいちゃんは、いつも白い服を着ていた。
じいちゃんがちゃあちゃんと同じ工場で働いていた事、先に辞めたちゃあちゃんと付き合いたいじいちゃんは、ちゃあちゃんの弟と仲良くなり、ちゃあちゃんの家に入り浸るようになった事など、若い頃の話を面白おかしく語るちゃあちゃんは、娘のように笑った。

ちゃ「戦争は大変だったけど、あン時に一度死んだもんだと思って、一所懸命働いて、一所懸命遊んだから、悔いは無いよ。200も生きたってしょうがないからね。もう充分生きた」

ちゃあちゃんの生きてきた道は、決して楽じゃ無かっただろうけど、充実していたのは確かだ。
ちゃあちゃんから聞ける限り、話を聞いておきたい欲求に駆られる。
ちゃあちゃんの話は孫ながら聞いていて面白いのである。
裸一貫から世界旅行を趣味に出来るようになったちゃあちゃんは、やはり大物だと思うのだ。

元気になったらテレコを持ってちゃあちゃんを取材しよう、そう思った。
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プロフィール

NORIMITSU

Author:NORIMITSU
※当ブログからのテキスト、画像などの無断転載、無断使用を禁じます。


東京生まれ。
幼少の頃、マイケル・ジャクソンの『スリラー』を観て衝撃を受けるが、持ち前の引っ込み思案が災いし、「(ダンスは)自分には無理」と諦める。
小中学校でドップリ「オタクカルチャー」にハマるが、音楽には元々興味があった為、バンドを組もうと思うようになり、ジャンケンで負けてベース担当になる。
中学卒業直後、高校入学直前に先輩たちの自主公演を観劇し感激。演劇部と音楽部(合唱部)に入部する事を固く決意する。
「10年生になったら友達100人出来るかな?」をスローガンに男女問わず声をかけまくる、いわゆる高校デビューを果たす。
バンドは「音楽性の違い」というありがちな理由で解散。ヴォーカリストを目指す。
突っ立ったまま歌うとなると、まるで橋幸夫さんのようなので、ダンスを習う事にする。
trfのSAMさんに憧れていたのだが、ダンススクールや俳優養成所でジャズダンス(某金融ショップのCMでおなじみのジャンル)とバレエを習う。
俳優養成所のダンスの先生の公演出演を通じ、立教大学のダンスサークル「St.Paul's Musical Company(現・D-mc)」に所属。
20歳の頃、SAMさんの踊ってるダンスジャンルがハウスだと知り、愕然とする。
急遽、ストリートダンスに路線変更。座右の銘は「急がば回れ」。
ダンスチームを結成してクラブイベントに出たり、ダンスの仕事をしたりして、24歳の頃にダンスインストラクターとして、ダンススクールやスポーツクラブなどでクラスを持ち、ストリートダンスを教えるようになる。

現在、落語家「三遊亭楽天」として全国各地で落語の口演を行っている。
2012年8月、六代目三遊亭円楽に入門、「楽天」と命名される。
2015年10月、「楽天」のまま二ツ目昇進。



【主な芸歴】
日本ジャズダンス芸術協会『秋の祭典』出演

H.S.ART第二回公演『BLUE』主演

東京ディズニーランド「ミッキーのダンスフィーバー」TVCM出演

テレビ東京系『RAVE2001』5thステージに「YUJI+BANRI+NORI」として出演

鈴鹿8耐前夜祭『RIDE & LIVE』TRFライヴバックダンサー出演

フジテレビ系『SMAP×SMAP』出演

お台場どっと混む!2002『遊城』Dur mollライヴバックダンサー振り付け・出演

テレビ東京系『BEATOPIA』DT CRUSH!出演

劇団東京ミルクホール公演振り付け洋舞担当

自主制作DVD『ストリートダンス ヨクワカルDVDマガジン REAL STREET』企画・振付・出演・ストリートダンス普及委員会委員長・特典小冊子「ストリートダンスがよくわかる本」執筆

SONY 50時間連続再生MP3プレイヤー 50時間連続ダンスキャンペーンダンサー

フジテレビドラマ『トップキャスター』出演

映画『バックダンサーズ!』出演

氣志團『The アイシテル』PV出演

東京ガールズコレクション 2007 AUTUMN/WINTER DJ OZMAライヴバックダンサー出演

他多数



【お問合せ】
nori.school@gmail.com
※文章についてのお問い合わせなど、こちらからお送り下さい。

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