A-boys revenge
物心ついた頃、母方のじいちゃんによく秋葉原に連れて行ってもらった。
じいちゃんは山登りと絵の他に、自転車や時計、その他家電やら道具類を修理したり、カスタムする事を趣味としていたので、秋葉原に部品を買いに通っていた。
当時の秋葉原は正に電気街であり、電気いろいろ秋葉原オノデンであった。
街は今に比べて遥かに薄暗く、買い物客の大半は大人であった。
時は1980年代初頭。
萌えなんてものは概念すら存在せず、アニメは「テレビまんが」と呼ばれていた。
オタクという呼称すらなく、一部のSFファンが熱狂的に盛り上がり、宇宙戦艦ヤマトや機動戦士ガンダムのキャラクターの葬式を行ったりしていた。
インターネットの掲示板など影も形も無く、ラジオのネタ投稿が読まれる事に一喜一憂していた時代。
あの頃の秋葉原は別にオタクの街なんかじゃなかった。
特撮、漫画、アニメ、ゲームを好み、そうした文化に頭から尻尾までアンコぎっしり染まりきった小中学生当時、オイラは池袋や中野、吉祥寺といった場所を転々とし、まんがの森やアニメイト、まんだらけ、ポストホビーといったオタクの巣窟に足繁く通い、画材屋でGペンやスクリーントーン、ケント紙なんかを買っていた。
この時期から再び秋葉原に訪れるまでの間、自分にとって「秋葉原空白の時間」であった。
久方振りに戻ってみれば、秋葉原はオタクの街になっていた。
数年前、友人たちとガンプラを作って持ち寄り、秋葉原を散策するという企画をやらなければ、いまだに縁遠いままであったかも知れない。
しかし、幸か不幸か、オタクの街と化した後の秋葉原に足を踏み入れてしまった。
ビルの壁面を萌え絵が飾り、アソビットシティの一階では名も知らぬアイドルだか声優だかが握手会を行い、カメラ小僧が群がっている。
中古ソフト屋の店先からは懐かしいファミコンの音色が流れ、クリスマス直前だというのに、カップルの姿は無く、ただただ男たちがお目当ての商品を手に入れるべく、静かに戦っていた。
俺の中で何かが弾けた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
かくして秋葉原は自分にとって、ある種の聖地となった。
懐かしいものに出会える場所。
何の因果か、自分が好むものはマイナーなものである事が多く、ネットの中古通販サイトを幾ら捜索しても見つからないものばかりである。
しかし、そうしたレアアイテムも、秋葉原に行けば普通に転がっている事が多いのだ。
気づけばイエローサブマリン辺りで
「…くっ、『指輪物語ロールプレイング スタートセット』が12000円とは、足下を見られたモンだぜ…」
「…ほう、『クトゥルフの呼び声』ボックス4800円か…。買いかな…?」
なんて事を脳内で呟きながら、まるで亡者の如く徘徊している昨今なのである。
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