日焼けサロンでのバイトの話。
オイラは隣の区の駅前にあった日焼けサロンでバイトをしていた。
当時、ファーストフードで契約社員も掛け持ちしており、早朝から昼過ぎまではファーストフード、夕方から夜まで日サロ、という生活を週3くらいの割合でやっていた(週4はダンスを習いに行っていた)。
この日サロのバイトの内容というのが結構ルーズで、受付での会計、日焼けマシンの清掃、最後の掃除くらいしかやる事が無く(客はあまり来なかった。来ても一人二人)、拘束時間は夕方の6時から夜中の0時過ぎくらいまでだったので、とりあえず誰かしらに電話して暇な友達に来てもらい、話し相手になってもらっていた。
店内のBGMは基本的に有線のJ-POPのチャンネルで、確か安室奈美恵『a walk in the park』だとか、JUDY AND MARY『くじら12号』とかが流行ってた頃だったと思う。
しかし、J-POPはファーストフード店の有線で耳にタコが出来るほど聞きまくっていたので、前の時間帯のバイトの子と交代するとすぐにHOUSEとかHIPHOP、R&Bのチャンネルに切り替えて、ダンスの練習をしたりしていた。
安室奈美惠/a walk in the park
JUDY AND MARY/くじら12号
日サロの店員はギャルばかりだし、客もギャルかビルダー系男性、丘サーファー、夜の蝶といった感じだったので、明らかにタイプの違うオイラは話し掛けられる事も無く、彼や彼女らを更衣室に案内すると、再びダンスの練習か友達とのおしゃべりに戻った。
店長は常に不在だった。
ごくごく稀に現れては、
「有線戻して」
と文句を言うくらいで、基本的に店に対して無関心な感じの人だった。
彼にしてみれば、手掛けてる幾つかの店の一つに過ぎなかったのだろう。
オイラも何度かマシンで焼いた。
日に日に真っ黒になっていくのが面白くて焼きまくっていたが、最終形態である松崎しげる状態になるのが怖くて止めた。
でも、ギャルがどんどん真っ黒にしたくなる気分は少しはわかった。
慣れによってエスカレートしていく行為に歯止めを掛けられなくなると、こんがりいってしまうのだ。
ある日、予約の電話が掛かってきた。
聞けば背中に彫り物があるのだが、焼きに行ってもいいか?との事。
今でこそ見慣れたものになりつつあるが、当時、タトゥーなんか堅気の人は入れてなかった時代である。
ましてやモンモンである。
風営法で入れ墨がある人は銭湯や日サロに入店出来ない、と定められている。まぁ、そんな文章上の決まりなんか守って無いところも多いのだが、要は他のお客さんが怖がって寄りつかなくなったり、不要なトラブルに巻き込まれたくない、という事だろう。
とりあえず店長に電話をして訊いてみると、大慌てで
「俺はそっち行けないけど、絶対お断りして!」
との事。
しばらくしてお兄さんが来たので、
「大変申し訳無いのですが」
と言うと、
「脅かしてすまんかったな」
とお兄さんは微笑んで帰って行った。
お兄さんの優しさに感謝した。
店長の無責任さに嫌気がさし、すぐに日サロを辞めた。
あの頃の流行歌を聴くと、ココナッツの匂いと共に日サロでのバイトを思い出す。
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