物語にはオチが必要か?

よく、結末がわからない終わり方の作品を「わからないからつまらない」と批判する人がいるが、俺はむしろ、読み手や観客の想像の余地を残している作品だと思うので、大好きだ(モヤモヤが解消するカタルシスを求めてもいないし、予定調和のハッピーエンドも望んでいない。作品によっては、理解する為に知識や人生の経験値を必要とするものもあるし)。
逆にオチがハッキリしていると萎える事の方が多い。
これは俺が怪談好きだからかも知れない。



怪談には二通りある。怖い怪談と怖くない怪談だ。
怖くない怪談とは、ズバリ、オチがある怪談である。
「…で、翌朝その場所に行ってみると、そこには慰霊碑が立ってたんだって」
とかいうヤツである。怪異の原因が特定できてしまうので、理不尽さが無くなる。
ほとんどの怪談本が、理由を説明していて詰まらない。本当に怖がりたければ、平山夢明らの『超怖い話』関連の本が理不尽な話ばかりなのでお薦め。
「極」怖い話 (竹書房文庫 HO 49)「極」怖い話 (竹書房文庫 HO 49)
(2008/03/29)
加藤 一

商品詳細を見る


真の恐怖は、原因不明である。理不尽な怪異は怖い。何故なら、誰もが犠牲者たり得るからである。
何故、その怪異が犠牲者の身に降りかかったのか?それがわからない方が怖い。

鈴木光司『リング』が神作品で、『らせん』、『ループ』が駄作なのには理由がある。
『リング』では、ビデオを観た人が死ぬ原因は、貞子の呪いなのではないか?という視点で物語が進行する。ダビングしたビデオが出回り、大量に人が死ぬ暗示で終わる。
しかも、巧みな事に、「貞子の呪いのビデオ」という原因を突き止めたはずなのに、主人公の浅川しか生き残らない。
これは怖くて良かった。
リング (角川ホラー文庫)リング (角川ホラー文庫)
(1993/04)
鈴木 光司

商品詳細を見る


しかし、『らせん』で一転。ビデオを観た人が死ぬ原因が「リングウィルス」によるものである、と答えを提示してしまう。
似非科学(化学)モノのホラーは駄作だ。怖くない。
それが許されるのは、ゾンビやバイオハザード系のスプラッターだけである。
感染 プレミアム・エディション感染 プレミアム・エディション
(2005/04/01)
佐藤浩市、高嶋政伸 他

商品詳細を見る


『リング』は、不幸の手紙に代表されるチェーンレターと都市伝説の要素が物語を構成しているが、実は非常に古典的な怪異譚である。
非業の死を遂げた女の怨念が、怪異を引き起こしているからである。

日本の古典怪談は人情モノである。
『四谷怪談』も『真景累ヶ淵』も、人情モノの落語である(『真景累ヶ淵』のオチはタイトルにある。真景と神経をかけたギャグになっている)。悪人に殺された怨念を、霊魂が晴らす話だ。
原因があり、結果がある。いわば自業自得である。むしろ、恨みを晴らす爽快感すら覚える。
東海道四谷怪談 (岩波文庫 黄 213-1)東海道四谷怪談 (岩波文庫 黄 213-1)
(1956/01)
河竹 繁俊、鶴屋 南北 他

商品詳細を見る

真景累ヶ淵 改版 (岩波文庫 緑 3-2)真景累ヶ淵 改版 (岩波文庫 緑 3-2)
(2007/03)
三遊亭 円朝

商品詳細を見る


『遠野物語』で知られる民俗学者の柳田國男は妖怪と幽霊の違いを「妖怪は決まった場所に現れ、幽霊は恨みを残した相手の前に現れる」としたが(俺はこれには異論がある。地縛霊という存在が説明できない)、なるほど、日本の古典怪談は人情モノだったから、こうした分類になったのだろう。
遠野物語・山の人生 (岩波文庫)遠野物語・山の人生 (岩波文庫)
(1976/01)
柳田 国男

商品詳細を見る


柳田國男による分類で妖怪の説明にあるような、場所に現れるモノ。これは、その場にたまたま行ってしまった人物の身に、怪異が降りかかる。
つまり、無差別なのである。
この無差別に降りかかる理不尽な恐怖に、更に原因不明という要素が加わると、本当に怖い。だから、面白い。
何故そうなったんだろう?と想像する楽しみがある。

俺がオチの無い話が面白いと感じるのは、「何故そうなったんだろう?」と想像する余地があるから。
作者の意図を読み取る楽しみ(深読みし過ぎて見当違いの方向に暴走するのも楽しい)もあるし、その後を想像して楽しめる。
しかし、オチがある物語は完結しているので、想像の余地がない。そこで満足出来るクオリティの話ならいいが、オチがある事でつまらなくなる話もある。
「この後どうなっちゃうんだろう?」と続きを予感させるような、余韻を含んだラストの方が断然、楽しいと感じる。

また、その場で全てが語られているものよりも、謎がさも当たり前のように残っている作品の方が、後々「あっ、もしやあれはそういう事だったのではないか?」とひらめいた時に、より深く作品世界にのめり込めるし、時間の経過により印象が異なる作品の方が楽しい。
好きな人の全てを知るよりも、意外な一面が残っている方が楽しい。

所詮、一個人が一生のうちに理解出来る事柄なんて、この世の中のたかが氷山の一角に過ぎない。全てを知りたいなんておこがましい事だし、知らない事があるからこそ、生きてて楽しいとも言える。

そんな訳で、俺はオチの無い話が好きだ(落語も大好きなんだけどね)。

※もちろん、モノによってはオチが無いと締まらないものもある。そういう作品の場合は当然、オチを期待するし、大したオチじゃないと腹を立てる。
我ながら我が儘だなぁw
スポンサーサイト

comment

Secret

プロフィール

NORIMITSU

Author:NORIMITSU
※当ブログからのテキスト、画像などの無断転載、無断使用を禁じます。


東京生まれ。
幼少の頃、マイケル・ジャクソンの『スリラー』を観て衝撃を受けるが、持ち前の引っ込み思案が災いし、「(ダンスは)自分には無理」と諦める。
小中学校でドップリ「オタクカルチャー」にハマるが、音楽には元々興味があった為、バンドを組もうと思うようになり、ジャンケンで負けてベース担当になる。
中学卒業直後、高校入学直前に先輩たちの自主公演を観劇し感激。演劇部と音楽部(合唱部)に入部する事を固く決意する。
「10年生になったら友達100人出来るかな?」をスローガンに男女問わず声をかけまくる、いわゆる高校デビューを果たす。
バンドは「音楽性の違い」というありがちな理由で解散。ヴォーカリストを目指す。
突っ立ったまま歌うとなると、まるで橋幸夫さんのようなので、ダンスを習う事にする。
trfのSAMさんに憧れていたのだが、ダンススクールや俳優養成所でジャズダンス(某金融ショップのCMでおなじみのジャンル)とバレエを習う。
俳優養成所のダンスの先生の公演出演を通じ、立教大学のダンスサークル「St.Paul's Musical Company(現・D-mc)」に所属。
20歳の頃、SAMさんの踊ってるダンスジャンルがハウスだと知り、愕然とする。
急遽、ストリートダンスに路線変更。座右の銘は「急がば回れ」。
ダンスチームを結成してクラブイベントに出たり、ダンスの仕事をしたりして、24歳の頃にダンスインストラクターとして、ダンススクールやスポーツクラブなどでクラスを持ち、ストリートダンスを教えるようになる。

現在、落語家「三遊亭楽天」として全国各地で落語の口演を行っている。
2012年8月、六代目三遊亭円楽に入門、「楽天」と命名される。
2015年10月、「楽天」のまま二ツ目昇進。



【主な芸歴】
日本ジャズダンス芸術協会『秋の祭典』出演

H.S.ART第二回公演『BLUE』主演

東京ディズニーランド「ミッキーのダンスフィーバー」TVCM出演

テレビ東京系『RAVE2001』5thステージに「YUJI+BANRI+NORI」として出演

鈴鹿8耐前夜祭『RIDE & LIVE』TRFライヴバックダンサー出演

フジテレビ系『SMAP×SMAP』出演

お台場どっと混む!2002『遊城』Dur mollライヴバックダンサー振り付け・出演

テレビ東京系『BEATOPIA』DT CRUSH!出演

劇団東京ミルクホール公演振り付け洋舞担当

自主制作DVD『ストリートダンス ヨクワカルDVDマガジン REAL STREET』企画・振付・出演・ストリートダンス普及委員会委員長・特典小冊子「ストリートダンスがよくわかる本」執筆

SONY 50時間連続再生MP3プレイヤー 50時間連続ダンスキャンペーンダンサー

フジテレビドラマ『トップキャスター』出演

映画『バックダンサーズ!』出演

氣志團『The アイシテル』PV出演

東京ガールズコレクション 2007 AUTUMN/WINTER DJ OZMAライヴバックダンサー出演

他多数



【お問合せ】
nori.school@gmail.com
※文章についてのお問い合わせなど、こちらからお送り下さい。

カテゴリー
最近の記事
月別アーカイブ
最近のコメント
最近のトラックバック
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧

■ ブログ名:Good to know

■ ブログ名:M’S SOUL STYLE
RSSリンクの表示
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
世界樹の迷宮III マイギルド