【ダンス】ダンスを文章化するという事。

数年前、ストリートダンスをテーマにした小説を書こう、と思っていた。

ストリートダンスが出てくる小説には今野敏『ビート』があるが、この小説ではストリートダンスはあくまで彩りに過ぎず、テーマではない(テーマは警察官の父親と子供の確執と歩み寄り)。
『小説ひとりでできるもん 月歩―謎の覆面ピンダンサー』はまだ未読なので、今度読んでみる。

たまにストリートダンスのみの小説を「書いてみたい」という気持ちが頭をもたげるが、すぐに「無理だ」と諦めてしまう。
そんな忸怩たる数年間を過ごしてきて、ようやく「ダンスを文章化する為に必要な事」が見えてきた。

人は単語に込められた意味、定義を元に文章を読む。
つまり、知らない単語ばかりが並んでいては意味がわからない。
パソコン関係の解説書が難解なのは、訳のわからない単語が並んでいるからである。
過半数の人間が読んで意味のわからないものは、自慰行為でしかない。
自分で納得しつつ、読んだ人がそれを曲がりなりにもわからなければ意味が無いのだ。

そうなると、肉体的な物事を文章で表現する限界が見えてくる。
例えば、「歩く」、「走る」、「殴る」、「抱く」、「(刀剣で)斬る」などといった、日常的な行為や想像の範疇でカバー出来る行為ならば、文章化しやすい。
しかし、踊りとなると、観た事がある人間と観た事が無い人間、踊った事がある人間と踊った事が無い人間、ダンス用語を知ってる人間と知らない人間との間に生じる隙間の幅は物凄く広く開いてしまう。

かつて、昔ながらの女友達が某テーマパークのダンサーのオーディションを受けた事があった。
今はどうだか知らないが、当時はバレエが必須で、オーディションの審査の一つに「言われた通りに踊る」というのがあったという。
俺自身、昔その娘と一緒にバレエを習っていたので、バレエを知らない人がその審査を受けても手も足も出ない事はよくわかった。

バレエのクラスでは先生やアシスタントが動かずに、例えば
「トンベ、パドブレ、ピルエット」
と言われたら、その通りに生徒が踊る事がある。
バレエの経験がある人間ならば、それがどのような動きかわかるし、すぐに踊ってみせる事が出来る。
しかし、バレエを知らない人間は何のこっちゃわからない。
ましてや、オーディションですぐにその場で水準以上のものが出来なければならない状況で、付け焼刃で真似しても無意味だ。
つまり、このテーマパークにはバレエをやった事が無い人間は必要無い、という事なのである。
実際、ストリートダンスしかやってこなかったような子達が全員見事に落っこちたという話を聞いて、
「そうだろうね」
と言った。

ダンサーですら、自分の知らない単語が出てきたら理解出来ないのである。
ましてや、ダンサー以外の人間が専門用語を理解する事は出来ない。



そう言えば、昔、村上龍の『KYOKO』という小説を読んでいて、主人公のキョウコがダンスを踊るシーンでどのように踊ってるのか、全く想像出来なかった。
村上龍の頭の中には確かに映像として見えていたであろう、キョウコの踊りは、他者の脳内には描かれないのである。
村上龍の文章が下手な訳では無い。
それだけ、踊っている情景を他者に言葉で、文字で伝えるのは難しいのである。
キョウコの踊りがどんなものだったのか知る為には、映画版もあるので、それを観るしかない。

結局、踊っている状況を伝える為には、踊りを見せるしかない。
情報量が余りに多過ぎるし、煩雑に過ぎるし、下手したら酷く陳腐になるし、どんなに言葉を尽くしても、その全てを言い表す事が出来ないから。

それだけ、ダンスを文章化する事は難しい。

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プロフィール

NORIMITSU

Author:NORIMITSU
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東京生まれ。
幼少の頃、マイケル・ジャクソンの『スリラー』を観て衝撃を受けるが、持ち前の引っ込み思案が災いし、「(ダンスは)自分には無理」と諦める。
小中学校でドップリ「オタクカルチャー」にハマるが、音楽には元々興味があった為、バンドを組もうと思うようになり、ジャンケンで負けてベース担当になる。
中学卒業直後、高校入学直前に先輩たちの自主公演を観劇し感激。演劇部と音楽部(合唱部)に入部する事を固く決意する。
「10年生になったら友達100人出来るかな?」をスローガンに男女問わず声をかけまくる、いわゆる高校デビューを果たす。
バンドは「音楽性の違い」というありがちな理由で解散。ヴォーカリストを目指す。
突っ立ったまま歌うとなると、まるで橋幸夫さんのようなので、ダンスを習う事にする。
trfのSAMさんに憧れていたのだが、ダンススクールや俳優養成所でジャズダンス(某金融ショップのCMでおなじみのジャンル)とバレエを習う。
俳優養成所のダンスの先生の公演出演を通じ、立教大学のダンスサークル「St.Paul's Musical Company(現・D-mc)」に所属。
20歳の頃、SAMさんの踊ってるダンスジャンルがハウスだと知り、愕然とする。
急遽、ストリートダンスに路線変更。座右の銘は「急がば回れ」。
ダンスチームを結成してクラブイベントに出たり、ダンスの仕事をしたりして、24歳の頃にダンスインストラクターとして、ダンススクールやスポーツクラブなどでクラスを持ち、ストリートダンスを教えるようになる。

現在、落語家「三遊亭楽天」として全国各地で落語の口演を行っている。
2012年8月、六代目三遊亭円楽に入門、「楽天」と命名される。
2015年10月、「楽天」のまま二ツ目昇進。



【主な芸歴】
日本ジャズダンス芸術協会『秋の祭典』出演

H.S.ART第二回公演『BLUE』主演

東京ディズニーランド「ミッキーのダンスフィーバー」TVCM出演

テレビ東京系『RAVE2001』5thステージに「YUJI+BANRI+NORI」として出演

鈴鹿8耐前夜祭『RIDE & LIVE』TRFライヴバックダンサー出演

フジテレビ系『SMAP×SMAP』出演

お台場どっと混む!2002『遊城』Dur mollライヴバックダンサー振り付け・出演

テレビ東京系『BEATOPIA』DT CRUSH!出演

劇団東京ミルクホール公演振り付け洋舞担当

自主制作DVD『ストリートダンス ヨクワカルDVDマガジン REAL STREET』企画・振付・出演・ストリートダンス普及委員会委員長・特典小冊子「ストリートダンスがよくわかる本」執筆

SONY 50時間連続再生MP3プレイヤー 50時間連続ダンスキャンペーンダンサー

フジテレビドラマ『トップキャスター』出演

映画『バックダンサーズ!』出演

氣志團『The アイシテル』PV出演

東京ガールズコレクション 2007 AUTUMN/WINTER DJ OZMAライヴバックダンサー出演

他多数



【お問合せ】
nori.school@gmail.com
※文章についてのお問い合わせなど、こちらからお送り下さい。

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