ウィンタースポーツの想い出

元々、スポーツが嫌いという事もあるが、怪我をしてダンスが出来なくなる事が厭だから、極力他のスポーツはやらない事にしている。
…何て言うと、結構驚かれる事が多い。
「ダンサーは運動神経あるんだから、スポーツ万能でしょ?」
なんて言われる。
いや、そんな事は全く無いのである。
そりゃ、もちろんスポーツ万能なダンサーもいるけれど、ダンス以外の身体を動かす行為が苦手、というダンサーもいる訳で、俺は後者に属するのだ。

それでも、若い頃はスキーやスノボー、ボディボードなどをしていた。

スキーは15、16歳の頃、高校の先輩たちと初めて行った。
いきなり中上級者コースに連れて行かれ、ほぼ直角にしか見えない急斜面を見下ろし、高所恐怖症の気がある俺は、今こそ人生が積んだと思った。
投了である。
しかし、俺をその場に放置して、先輩たちはスイスイ滑ってしまうので、仕方無く後を追う事にした。
恐怖から身体が後方に仰け反ると、意に反してスピードは増し、直滑降でゲレンデの急斜面を文字通り滑落していった。
先輩たちはゲラゲラ笑っていたが、怪我しなかったのは僥倖と言えるだろう。

次にスキーに行ったのは、19歳の冬である。
バイト先の某ファストフードの有志たちで滑りに行った。
このバイト先で知り合った、当時付き合いたての彼女のAちゃんも一緒だったので、有頂天だった事を覚えている。
先輩が当時流行り始めたスノーボードを持って来ていたので、借りて滑る事になった。
もちろん、コケにコケまくって尻餅つきまくったのだが、ラスト一本というときに、直滑降でかなりスピードがついた。
目前にはスラロームでデコボコになったコブが無数に広がっていた。
とっさに膝を曲げ、コブに乗り上げた瞬間、宙に飛び上がった。
傍から見たならば、短時間の出来事だったろうが、体感時間が異様に長く感じた。
自分の履いているボードのエッジが、側頭部に命中する。
被っていた帽子が、自分の後方にスローモーションですっ飛んでいくのが視界の端に見える。
まるで車田正美の漫画で、アッパーを喰らったキャラクターが宙を舞い、地面に叩きつけられるように、無様にゲレンデに落下した。
エッジが命中した側頭部がじんわりと麻痺している。
ふと、手をやると、べったりと鮮血がついた。
ちょっとちょっと、ヤバイんじゃないの?俺?
取り敢えず、遥か上方に残された帽子を拾いに這いずると、ゲレンデの麓までノンストップで降りていった。
人間、死ぬ気になればコケずに滑れるもんである。
頭から血、という恐怖に駆られた俺は、とにかく仲間たちが合流しているであろう地点を目指し、猛スピードで滑走していった。
仲間たちの元へ駆け込むと、
「…た、助かったぁ…」
と、その場へ倒れ込んだ。
頭から流血し、ウェアの右半分を朱に染め、ゲレンデに点々と赤い筋が続いているのを見た仲間たちから、
「おい!救急車!」
と声が上がったのはすぐだった。

町医者に運ばれ、診察を受けた。
血液を洗い流すと、切れたのは右耳の一部だった。
取り敢えず、頭が切れてるんじゃなくて良かった。
しかし、耳の端っこの部分がプランプランに千切れかかっており、医者は
「これさぁ、縫うんじゃなくて取っちゃった方が早いかもよ?上手くつかなけりゃ、壊死しちゃうかも知んないし」
と脅かしてきた。
取られちゃかなわん、と思い、
「取り敢えず縫って下さい」
と焦りながら言うと、医者は笑った。

麻酔で感覚が無くなっても、聴覚はそのままである。
耳元で、
プツッ(針が刺さる音)、スーッ(糸が通過していく音)
というのを繰り返し聴いていると、自分がまるで雑巾にでもなったような気分になってきた。

結局、十数針縫合して貰った。
傷口が塞がるまでの間、ダンスレッスンは休むハメになった。
やれやれ。



そんな事があったのに、それから数年おきに2、3回ほどスノボーに行った。
しかし、怪我をすると、その間踊れないのは、仕事も出来なければ、精神衛生上にも誠によろしくないので、もう二度と行かないだろうな。
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プロフィール

NORIMITSU

Author:NORIMITSU
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東京生まれ。
幼少の頃、マイケル・ジャクソンの『スリラー』を観て衝撃を受けるが、持ち前の引っ込み思案が災いし、「(ダンスは)自分には無理」と諦める。
小中学校でドップリ「オタクカルチャー」にハマるが、音楽には元々興味があった為、バンドを組もうと思うようになり、ジャンケンで負けてベース担当になる。
中学卒業直後、高校入学直前に先輩たちの自主公演を観劇し感激。演劇部と音楽部(合唱部)に入部する事を固く決意する。
「10年生になったら友達100人出来るかな?」をスローガンに男女問わず声をかけまくる、いわゆる高校デビューを果たす。
バンドは「音楽性の違い」というありがちな理由で解散。ヴォーカリストを目指す。
突っ立ったまま歌うとなると、まるで橋幸夫さんのようなので、ダンスを習う事にする。
trfのSAMさんに憧れていたのだが、ダンススクールや俳優養成所でジャズダンス(某金融ショップのCMでおなじみのジャンル)とバレエを習う。
俳優養成所のダンスの先生の公演出演を通じ、立教大学のダンスサークル「St.Paul's Musical Company(現・D-mc)」に所属。
20歳の頃、SAMさんの踊ってるダンスジャンルがハウスだと知り、愕然とする。
急遽、ストリートダンスに路線変更。座右の銘は「急がば回れ」。
ダンスチームを結成してクラブイベントに出たり、ダンスの仕事をしたりして、24歳の頃にダンスインストラクターとして、ダンススクールやスポーツクラブなどでクラスを持ち、ストリートダンスを教えるようになる。

現在、落語家「三遊亭楽天」として全国各地で落語の口演を行っている。
2012年8月、六代目三遊亭円楽に入門、「楽天」と命名される。
2015年10月、「楽天」のまま二ツ目昇進。



【主な芸歴】
日本ジャズダンス芸術協会『秋の祭典』出演

H.S.ART第二回公演『BLUE』主演

東京ディズニーランド「ミッキーのダンスフィーバー」TVCM出演

テレビ東京系『RAVE2001』5thステージに「YUJI+BANRI+NORI」として出演

鈴鹿8耐前夜祭『RIDE & LIVE』TRFライヴバックダンサー出演

フジテレビ系『SMAP×SMAP』出演

お台場どっと混む!2002『遊城』Dur mollライヴバックダンサー振り付け・出演

テレビ東京系『BEATOPIA』DT CRUSH!出演

劇団東京ミルクホール公演振り付け洋舞担当

自主制作DVD『ストリートダンス ヨクワカルDVDマガジン REAL STREET』企画・振付・出演・ストリートダンス普及委員会委員長・特典小冊子「ストリートダンスがよくわかる本」執筆

SONY 50時間連続再生MP3プレイヤー 50時間連続ダンスキャンペーンダンサー

フジテレビドラマ『トップキャスター』出演

映画『バックダンサーズ!』出演

氣志團『The アイシテル』PV出演

東京ガールズコレクション 2007 AUTUMN/WINTER DJ OZMAライヴバックダンサー出演

他多数



【お問合せ】
nori.school@gmail.com
※文章についてのお問い合わせなど、こちらからお送り下さい。

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