【書籍】ロードス島戦記
その世界を舞台にTRPGを遊ぶようになり、ゲームのルールによって、よりリアリティのある設定が生まれていった。
J.R.R.トールキンは元々言語学者で、オックスフォード大学の教授だが、『指輪物語』を書くにあたり、世界を構築する事から始めたという。
中つ国(Middle Earth)の成り立ちや、各種族や地方毎の言語などを作り、地盤を固めた。
だから『指輪物語』は単なる御伽噺に終わらず、血の通ったもう一つの世界を創造する事に成功したのである。
それと同じく、『ロードス島戦記』は世界観に加え、TRPGのルールという縛りによって、リアリティを与えられている。
しかも、キャラクターは自分以外のプレイヤーが動かす為、想定外の行動を取る事も多々ある。
そうしたプレイを重ねて描かれたロードス島戦記は、やはり血の通ったリアリティを持っている。
辺境の村ザクソンの若者パーンが、様々な戦いを経て、一人前の男に、そしてどの王国にも属さない孤高の英雄、ロードスの騎士の称号を得るまでの物語である。
途中、「パーンのレベルが上がり過ぎて」小説の主人公としては使いづらくなり、駆け出しキャラのスパークに主人公の座を明け渡すが、基本的にはパーンを軸に話が展開していく。
時には勇者と讃えられ、時には守ってきた村人たちに裏切られ、それでも自分の信じた道を歩き続け、成長を続けるパーンを見ていると勇気づけられる。
ロードス島戦記は、人間の持つ弱さも強さも描いた傑作だと思う。
立場や信念によって、対立し合う人間の愚かさと、迷いながらも守る物を見出した時の人間の強さが巧みに描かれている。
ロードス島戦記には完璧な人間が出てこない。
皆どこか欠けていたりする。
そこをお互いに補いながら、協力する姿に感動を覚える。
熱血騎士パーンはもちろん、威厳よりも人徳で治める傭兵王カシューや優しい狂戦士オルソン、薄幸の騎士スパーク、敵ながら天晴れな暗黒騎士アシュラムなど、魅力的なキャラクターがたくさん登場する。
ファンタジーやRPGが好きで未読の人には、是非とも読んで貰いたい作品の一つである。
『ロードス島戦記』は大きく分けて3つのシリーズとして分類出来る。
パーンたちが参加した英雄戦争からスパークたちが参加した邪神戦争までを描いた『ロードス島戦記』シリーズ、英雄戦争の30年前に六英雄とスカードの王子ナシェルが参加した魔神戦争を描いた『ロードス島伝説』シリーズ、そしてマーモ公となったスパークと邪神カーディスの教団との戦いを描いた『新ロードス島戦記』シリーズである。
また、同時代のアレクラスト大陸を描いた『魔法戦士リウイ』シリーズや、マーモを脱出した暗黒騎士アシュラムたちが流れ着いた大地を舞台とする『クリスタニア』シリーズとも関わりがある。
コンピューターゲームやアニメ、TRPG、漫画、カセットブックなど様々なメディアで登場したが、やはり小説とTRPGを推したい。
小説で興味を持ったら、TRPGで世界観を味わって欲しい。
かつて角川から『ロードス島戦記コンパニオン』と『ロードス島戦記RPG』というTRPGが出ていたが、現在は絶版である。
今、確実に遊べる方法としては、『ソード・ワールドRPG』と『ロードス島ワールドガイド』を使ったプレイが挙げられる。
『ロードス島ワールドガイド』を使わなくても、基本的に『ソード・ワールドRPG』はロードス島と同じフォーセリアという世界を舞台にしたゲームなので、再現性は高い。
まぁ、ゲームはやらないにせよ、小説は一読の価値があると思う。
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